上松町の豊かな自然が育む伝統と技術を次世代へ
伊藤 匠さん
Uターンのきっかけはなんですか?
桶屋に生まれ、小さい頃からモノづくりに親しんできました。「手を慣らせ」が父の口ぐせだったこともあり、高校では木工を扱うインテリア科に、卒業後は上松技術専門学校に1年通い、さらに技術を磨くため、滋賀県の工房に修行に入りました。修行後はお礼奉公を1,2年するのが通例ですが、多忙な桶屋の3代目として家業を継ぐため、特例として修業期間の3年で戻らせてもらうことに…。一度地元を離れたことで、改めて自分が生まれ育った場所の魅力を別の視点で見ることができ、木材の価格や質、取り扱いなどについても学べた良い時間になったと思っています。
どんな仕事をしていますか?
現在は父と2人で「株式会社桶数」を営んでおり、私は主に木曽天然木を使った桶やおひつなどの木工小物を担当しています。親子といえども手取り足取り丁寧に教えてくれるということはなく、見て覚えるのは当たり前。あとは父の機嫌の良い時に聞いたりすることもあります(笑)。
桶屋は数が減り続けていて、今は全国でも100軒を切っているそうです。失ってからその価値に気付くのではなく、技術や伝統を絶やすことなく大切に受け伝え守っていきたいと思いながら、日々精進しています。
上松町の魅力を教えてください
この仕事をしているからこそですが、本当に自然が豊富で、良い木にめぐまれている地域です。初代である祖父が、良い木を求めて東京からこの地に移住した意味がよくわかります。この豊かな自然が良い作品づくりにつながっていると思っています。
これから移住を考えている方へ
上松町は移住初心者に向いているところです。自然の豊かさはもちろんですが、ほどほどにアクセスも良く、飲食店やお店もあって暮らしやすいんじゃないかな…と。移住に興味があるようならまずは試しに移住体験してみて、それから考えてみるのも良いと思いますよ。木工を仕事にするには心構えなどが必要ですが、桶やおひつなどの小物は始めやすいものなので興味がある方はぜひ一度、工房に来てみてください。